子供の歯並び予防はよく噛むこと

子供の頃に、よく噛まなくても食べられる軟らかい食事やよく噛まずに飲み物と一緒に飲み込むような食べ方ばかりをしていると、
あごの骨の成長期にあごが十分に発達せずに小さくなってしまいます。
結果、小さなあごに大きな歯が生えるので、歯が並ぶだけの十分なスペースがなく前後にデコボコとした歯並びになってしまいます。
できるだけ高額な矯正治療を受けないで済むようにしっかり噛む習慣をつけましょう。

顎の発達が健康な歯をつくる

健康な顎の発達について

歯と顎は年齢によって順次発達をしていきます。
生後6ヶ月ごろに乳歯が生え始め、生後2歳半くらいで乳歯20本はほぼ生えそろって、U字型のアーチを形成します。乳歯列期には上の前歯が下の前歯より少し前に出て、上の奥歯は下の奥歯より少し頬側に生えた状態で噛み合っています。4歳から5歳頃に、顎が大きく発達して前歯には隙間を生じて歯がばらついた状態となり、永久歯が生えてくるスペースが確保されます。

6歳頃になると乳歯の後ろ側に6歳臼歯すなわち第一大臼歯が生えてきます。歯の噛み合う刺激から顎はさらに発達し、次の永久歯の生えてくるスペースが確保される事となり、この時期を混合歯列期といいます。永久歯も乳歯同様に上の前歯は前に、犬歯は斜め前に、6歳臼歯は頬側にと上の歯は外側に向かい伸びてアーチ型を形成していきます。

9歳頃になると6歳臼歯より前側の奥歯が乳歯から永久歯に生え変わりが始まり、側方歯群交換期と呼ばれます。12歳頃までには最後の永久歯となる第二大臼歯が生えそろいます。14歳ころになると永久歯の歯根部分も完成し、永久歯の歯並びが完成し、永久歯列期といわれます。上顎の骨の成長はここで終了になりますが、下顎の骨はその後も手足の骨と同様に、身長が伸びる成長期に成長して大きくなります。

大切な乳歯、その役割
乳歯は、2~6歳頃までの間に上下左右20本が生えそろいます。食べ物を小さく噛み砕いたり、正しく発音するために大切な役割をもつ乳歯は、それ以外に子供のあごの骨の成長を促進したり、顔の形を整える役割を持っています。乳歯は、一定期間食事を録ることなどで刺激を受けると、永久歯に生え変わります。 一番奥の乳歯が抜ける10~12歳ころまでの、子供の成長において大切な役割を果たしています。

その他の乳歯の役割は大きく分けて3つあります。それぞれを詳しく見てみましょう。

乳歯の役割とは

1)噛むこと
よく噛むことはお子さんの成長・発達に必要な栄養を効率よく吸収する、とても大切な役割を持っています。咬むという動作は、脳の発達にも役立つと言われています。
2)発音
たくさんの言葉を覚えていく幼児期は、歯が健康であることで正しくキレイな発音ができるようになります。
3)永久歯を正しく誘導
乳歯から永久歯に生え変わる時期には、乳歯の根は吸収されて次に生えてくる永久歯を誘導します。 虫歯などで乳歯を失うと、後から生えてくる永久歯にも障害が出てきます。子供の成長を促す上で大切な歯なので、充分注意な注意が必要です。
どうせ生え変わるのだからと粗末にしていると、

・咀嚼(そしゃく)障害…食べられない、偏食の原因
・発音障害…うまく話せない
・あごの成長異常…顔の形の不調和
・不正咬合…歯並びが悪くなる

などの症状を引き起こします。
また、永久歯の虫歯や歯周炎を引き起こす原因にもなってしまいます。

注意が必要な月齢・年齢による歯のお手入れ

最初赤ちゃんは、歯のない状態で生まれてきます。赤ちゃんのお口の中は、食べるためではなく、おっぱいを上手に飲むのに適した形をしています。歯の生える時期(大体6~8ヶ月)が近づいたら、口を触られるのに慣らすため、ときどき口まわりや歯ぐきを指でやさしく触ってあげましょう。指しゃぶりも歯磨きの準備段階として大事です。歯のおそうじは唾液と湯ざましで充分です。6~8ヶ月(個人差で3ヶ月~1歳ぐらいもあります)に最初の歯が生えはじめます。個人差がありますが、一番最初は下の前歯から生えることが多いようです。

お口の中の変化と、離乳食を食べ始めることによってお口の中が刺激され、よだれも多くなってきます。まだ歯ブラシを必要とするような汚れは着きにくく、歯磨きが歯肉を傷つけたり、歯磨き嫌いになる原因にもなってしまいますのでこの時期はガーゼなどでお手入れし、徐々に歯ブラシをお口に入れるようにしましょう。
生後10ヶ月
生後10ヶ月ごろから上の前歯が生えはじめます。上の前歯は、よだれだけでは汚れが落ちにくい部分ですから徐々に歯ブラシの使用が始まります。しかし、上の前歯の歯肉はとても敏感な部分なので、ゴシゴシと磨くのは禁物です。きちんと磨くというよりは、歯ブラシに慣れることが目的の時期です。むし歯予防のために、夜間の頻繁な授乳やミルクを少しずつ減らしていきましょう。
1歳ごろ
1歳ごろから、前歯の8本が生えそろい、奥歯が生えはじめます。奥歯の噛む面の溝に歯垢がたまりやすくなり、むし歯菌もお口の中に定着しやすくなる時期です。1日1回きちんと歯磨きする習慣を付けてあげましょう。長時間大人しくお口を開けていられない頃ですので、手早く磨いてあげるのがポイントです。歯磨きを徹底的にというよりは、食事内容と食べ方で、むし歯菌を増やさない工夫をする必要があります。
2歳5〜6ヶ月ごろ
2歳5~6ヶ月ごろ、最後の歯が生え、全部で20本になります。3歳ぐらいには乳歯の噛み合わせが完成します。この後6歳前後になる永久歯(28本)への生え変わりの時期まで大きな変化はありません。歯が生えそろって何年かすると、自然に乳歯は隙間が開いてきます。これは発育空隙と言い、顎が発達して大きくなったことで歯の間が開いたものなので大丈夫です。
6歳ごろ
6歳ごろ、乳歯の奥歯のさらに奥に第一臼歯(はじめての永久歯)が生えはじめます。生え終わるのに1年~1年半かかり、さらにお口の奥に生えるために発見が遅く、むし歯になりやすいのが特徴です。小さめの歯ブラシでこの歯の噛み合わせ面だけを選んで、少し長めに丁寧に磨きましょう。この第一臼歯は特に、仕上げ磨きをしてあげると良いでしょう。

現代の食生活

現代の食卓に出てくるものは、口あたりがよく、やわらかいものが多く、特に子供たちの好物はカレー、ハンバーグ、オムレツ、スパゲティなど、どれもあまり咬まなくても食べられるような物ばかり。
そんな物ばかり食べていると、顎の成長はスムーズに行われず、華奢で小さい顎になってしまいます。小さめの顎と聞くと良いことのように聞こえるかもしれませんが、永久歯が生える際に顎が小さすぎると歯が並びきれず、場所がなく横にはみ出て、歯並びがガタガタになってしまいます。
最近の子供たちには、このような混み合った歯並びの子が非常に増えています。また、顎を動かす筋肉の成長も当然不完全となり、本来の機能を発揮できず、不自然なバランスの中で働かざるを得なくなります。
お子様には小さいうちから硬い物を噛ませるようにしてくださいね。